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十年尽くした妻が消えた朝、公爵家は紅茶の淹れ方すら分からなかった

最終エピソード掲載日:2026/03/29
毎朝、誰より早く目を覚ます。
紅茶の銘柄も、席順も、領地の帳簿も。
十年間、すべてをひとりで回してきた。

夫は一度も感謝の言葉を口にしなかった。
義母には当然だと言われ続けた。
手首の結い糸は、とうに白く褪せていた。

この世界では、夫婦の絆が糸の色に映る。
鮮やかなら健全。褪せれば、壊れた証。
ロゼッタはその白い糸を長袖で隠し続けた。

ある朝、書き置き一枚を残して屋敷を出た。
向かった先は、祖母が仕立て屋を営んだ港町。
待っていたのは、潮風と寡黙な幼馴染の船乗り。

彼は何も聞かず、黙ってマントをかけた。
翌朝から毎日、玄関の前に薪が置かれている。
理由は一度も告げられない。

残された公爵家では朝食の紅茶すら出せない。
商人たちは一人、また一人と取引を断り始める。
崩れていくのは、屋敷だけではない。

祖母の鋏を手に取り、もう一度針を持つ。
自分の名前で、自分の仕事を始めるために。
白い糸を隠す日々は、もう終わった。

だが元夫は気づき始めている。
失ったものの正体に。
その答えを知るのは、海風だけだ。
第1章
第2話 おかえり
2026/03/12 12:28
第3話 紅茶の淹れ方
2026/03/12 12:28
第4話 定期市の朝
2026/03/12 12:28
第5話 看板
2026/03/12 12:28
第6話 社交の季節
2026/03/12 12:28
第7話 嵐の夜
2026/03/12 12:30
第8話 褪せた糸
2026/03/12 12:30
第9話 夜会
2026/03/12 12:30
第10話 海風の朝
2026/03/12 12:30
第2章
第11話 再婚
2026/03/15 11:03
第12話 影
2026/03/15 11:03
第13話 子爵令嬢
2026/03/15 11:03
第14話 鏡
2026/03/15 11:03
第15話 契約
2026/03/15 11:03
第17話 航路
2026/03/15 11:03
第18話 最後の手紙
2026/03/15 11:03
第19話 選ぶ勇気
2026/03/15 11:03
第3章
第21話 病床の知らせ
2026/03/16 11:48
第22話 帰還
2026/03/16 11:48
第25話 二つの鋏
2026/03/16 11:49
第4章
第28話 潮の朝に
2026/03/17 16:20
第29話 言えなかった名前
2026/03/18 11:30
第35話 ヴィクトルの影
2026/03/24 11:30
第38話 産声
2026/03/27 11:30
第39話 リゼットの海
2026/03/28 11:30
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