一億円ボタン ~押した瞬間、百年の孤独が始まった~
最新エピソード掲載日:2026/08/09
借金と失職に追われる三十二歳の五味真人は、金融会社で奇妙な提案を受ける。赤いボタンを押せば、一億円。ただし体感で百年、誰もいない白い空間で過ごすことになるという。契約書をろくに読まず、真人は軽い気持ちでボタンを押す。だが、百年は一度では終わらなかった。記憶は消え、時間は戻り、残るのは痛みと空腹と、見ないままにしてきた人生の断片だけ。仕事、恋人、借金、逃げ続けた判断。何度も白い百年を繰り返すうち、真人はようやく問い始める。自分は本当に一億円が欲しかったのか。それとも、人生を決めずに済む空白が欲しかったのか。契約と記憶と自己逃避をめぐる、静かな心理ホラー。