回天整備士 ―答えを出さなかった男―
最終エピソード掲載日:2026/08/06
回天《かいてん》——太平洋戦争末期、日本海軍が実戦投入した人間魚雷。全長約十五メートル、直径一メートルの筒に一人が乗り込み、操縦して敵艦に体当たりする。脱出装置はない。搭乗すれば、生きて戻る手段はなかった。
山口県・大津島《おおつしま》の基地に、一人の老整備兵《ろうせいびへい》が着任する。藤堂幸造《とうどうこうぞう》、四十年間、鉄と向き合ってきた職工《しょっこう》。彼の仕事は、この兵器を、寸分の狂いもなく整えることだった。
なぜ死ぬのか。それに意味はあるのか——幸造は、若い搭乗員たちのその問いに、一度も答えない。答える言葉を、彼は持っていなかった。
彼が持っていたのは、継ぎ目を確かめる指先と、軸受けの歪みを直す手だけだった。
そして夜ごと、古い手帳に、若者たちが遺した小さな言葉を書き留めていく。
これは、答えを出さなかった一人の職人と、答えを知らないまま出撃していった若者たちの、六つの記録。
山口県・大津島《おおつしま》の基地に、一人の老整備兵《ろうせいびへい》が着任する。藤堂幸造《とうどうこうぞう》、四十年間、鉄と向き合ってきた職工《しょっこう》。彼の仕事は、この兵器を、寸分の狂いもなく整えることだった。
なぜ死ぬのか。それに意味はあるのか——幸造は、若い搭乗員たちのその問いに、一度も答えない。答える言葉を、彼は持っていなかった。
彼が持っていたのは、継ぎ目を確かめる指先と、軸受けの歪みを直す手だけだった。
そして夜ごと、古い手帳に、若者たちが遺した小さな言葉を書き留めていく。
これは、答えを出さなかった一人の職人と、答えを知らないまま出撃していった若者たちの、六つの記録。
第一話「機械」
2026/08/02 14:16
第二話「農家の息子」
2026/08/02 14:18
第三話「当たりますか」
2026/08/03 10:33
第四話「戻ってきた男」
2026/08/04 08:12
第五話「8月」
2026/08/05 11:29
第六話「整備手帳」
2026/08/06 11:51