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夫を殺さず、婚姻だけを殺します。~婚約破棄代行を始めた王宮戸籍官は、一行の偽造で王国を奪う~

作者:ふっせ君
最新エピソード掲載日:2026/08/04
「夫を殺したいのです」

夫に殺されかけた公爵夫人を前に、王宮戸籍官リズは死亡届ではなく婚姻台帳を開いた。

レグナ王国では、出生、婚姻、財産、爵位、医療まで、《真名台帳》へ書かれて初めて現実になる。法律は公爵夫人を救わない。そこでリズは、公爵に先妻がいたという一行を偽造し、現在の婚姻そのものを無効にする。

翌朝、公爵は自邸から「お客様」として丁寧に締め出された。夫人は自由になった。しかし同じ訂正によって、彼女が保護していた無戸籍の少年ノアまで家族資格を失ってしまう。

一つの嘘を救うには、次の嘘が要る。

偽造を見抜いた堅物の婚姻監査官カイ、結婚式を愛して結婚制度を憎む婚礼商モナ、自由を大量印刷する妹ニナ。癖の強い仲間を巻き込み、リズは地下の《白紙屋》で婚約破棄代行を始める。

逃げられない妻を救い、偽りの婚約を壊し、奪われた子供の名前を取り戻す。救うほど依頼人は増え、金が集まり、リズの一行は王子の血統すら覆す力を持ち始める。

だが彼女の前には、王国の歴史そのものを改竄してきた大記録官ヴェラが立つ。

これは、誰にも評価されなかった一人の官吏が、弱者を救う犯罪者となり、やがて他人の自由まで代わりに決める《白紙の女王》へ変わっていく物語。そして、彼女を愛する監査官が、彼女の罪だけは見逃さない物語である。
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