- あらすじ
- 色を失った葉が枝を離れ、乾いた音を立てて地に伏す。空は薄墨を流したように鈍く濁り、吹き抜ける風はどこか湿り気を帯びていた――。
とある地方に構える大屋敷、阿部本家。
そこの長老たる偉大な男、阿部本宗理がこの秋息を引き取った。享年九十五歳。屋敷の寝室にて迎えた大往生である。
宗理氏はその卓越した手腕で数多の人間を取り込み、政財界をはじめ各界隈に絶大な影響力を及ぼしながら、長きにわたり権力を保持してきた。三人の息子をもうけ、莫大な財産を築き上げただけでなく、一家の精神的支柱として君臨してきた。まさに阿部本家という王国の象徴であった。
晩年になってなお頭ははっきりしていただけに、その死は多くの者に惜しまれた。
盛大に執り行われた葬儀では、黒服の列が門を越えて道路にまで伸びた。坊主が読経を終えても、焼香台の前には人の姿が絶えず、火葬場の煙突から立ち上る白煙を見送る間もすすり泣く声は途切れることがなかった。たとえ燃やそうが細断しようが、黒く塗り潰そうが人々の心からは抹消しきれない。宗理氏の人生がどれほど大きかったかを物語る別れであった。
だが――それから三日後のことである。
「えっ……」
- Nコード
- N4592MI
- 作者名
- 雉白書屋
- キーワード
- キーワードが設定されていません
- ジャンル
- ヒューマンドラマ〔文芸〕
- 掲載日
- 2026年 06月16日 11時00分
- 感想
- 0件
- レビュー
- 0件
- ブックマーク登録
- 0件
- 総合評価
- 0pt
- 評価ポイント
- 0pt
- 感想受付
- 受け付ける
- レビュー受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 誤字報告受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 開示設定
- 開示中
- 文字数
- 4,626文字
設定
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
阿部本家、とどまる :約4500文字 :○○家系
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから
同一作者の作品
N4857MI|
作品情報|
短編|
ヒューマンドラマ〔文芸〕
――ひっ!
――きゃあ!
男は青く澄んだ空を見上げ、ゆっくりと息を吐いた。
時折、不安に駆られて故郷へ帰りたくなることがあった。胸の奥に根を張る寂しさや焦燥、肌をざらつかせる不快感。それらは長い間、男の心をじく//
N4600MI|
作品情報|
短編|
ヒューマンドラマ〔文芸〕
「さてと、時間が来たようだな……。おい、探偵さんよ。そろそろ推理してくれよ」
男は口元を歪め、にやにやと嫌らしい笑みを浮かべて言った。その目は薄暗い室内でも獣のようにぎらついており、相手の出方を楽しんでいるような雰囲//
N4592MI|
作品情報|
短編|
ヒューマンドラマ〔文芸〕
色を失った葉が枝を離れ、乾いた音を立てて地に伏す。空は薄墨を流したように鈍く濁り、吹き抜ける風はどこか湿り気を帯びていた――。
とある地方に構える大屋敷、阿部本家。
そこの長老たる偉大な男、阿部本宗理がこの秋息を引//
N1096MI|
作品情報|
短編|
空想科学〔SF〕
未来。とあるマンションの一室。
そう、ここは未来。人類が長年夢見てきた理想の未来である。
神は人を作り、人は地上に楽園を作った。
労働はすべてアンドロイドに委ねられ、人間は一日中ソファベッドに身を預けて娯楽に耽っ//
N1088MI|
作品情報|
短編|
ヒューマンドラマ〔文芸〕
ある日、ぼくの住んでいる町に、突然カイジュウが現れました。
その日、ぼくは学校から家に帰る途中でした。空は青く晴れていて、商店街ではお肉屋さんのメンチカツの匂いがふわんと漂っていました。八百屋のおじさんは店先で大きな//
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。