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婚約破棄裁定集~「真実の愛」の代金は、どなたが支払うのか~

最新エピソード掲載日:2026/10/15
「真実の愛を見つけた」
その言葉の翌朝、王家に届いたのは、麦の返還請求だった。

婚約は短い言葉で終わる。
けれど、指輪も、支度金も、貸した麦も、婚礼のために費やされた仕事も、その一言では片づかない。

法学士アデル・ロ・ハーゲンの仕事は、裁定のあとを確かめること。返すべき財は返されたか。支払うべき銭は支払われたか。彼女が読むのは、恋の噂ではなく、箱いっぱいの証文と受取書である。

浪費家と呼ばれた令嬢の領収書。
心変わりを魔導のせいだと訴える婚約者。
娘の名で誓った母。
破談とともに閉じられ、三つの村の畑を干上がらせる水門。
そして、嘘をつけない証人が、本当に見ていたもの。

誰が、何を、誰に約したのか。
神前法廷では、王家の約束も、職人の道具も、同じ秤に載せられる。だが、その秤にも、愛の真偽や失われた年月を量ることはできない。

戻る財、戻らぬ時間、その先に続く暮らし。
異世界の法学士が編んだ、八つの婚約解消と、その後をめぐる裁定集。
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