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時間の遺書

作者:矢刃諭吉
最新エピソード掲載日:2026/06/29
ある朝、刑事・黒崎蓮は目を覚ますと違和感を覚える。
昨日は月曜日だったはずなのに、今日は水曜日になっていた。
火曜日が存在しない。
しかし世界中の誰もそのことを不思議に思っていない。
歴史からも記録からも、火曜日は最初から無かったことになっていた。
混乱する黒崎の前に現れた謎の少女・ユイ。
彼女だけが消えた火曜日を覚えていた。
ユイに導かれた黒崎は、やがて「遺失時界」と呼ばれる場所へ辿り着く。
そこは世界から消えた時間が流れ着く場所だった。
忘れられた誕生日。
消えた夏休み。
存在しなかった戦争。
失われた一秒。
そして、その時間の中に取り残された人々。
調査を進める中で黒崎は知る。
世界から時間が消えているのは事故ではない。
時間自身が、自らを消そうとしているのだと。
時間は宇宙誕生以前から存在する生命体だった。
長い年月を人類と共に歩んできたその存在は、ある日、人類に深く失望し、自らの命を絶つことを決意していた。
時間が死ねば、過去も未来も消滅する。
世界は永遠に停止する。
黒崎たちは時間の自殺を止めるため奔走するが、その過程で少女ユイの正体が明らかになる。
彼女は人間ではなかった。
時間が最初に生み出した存在。
"時間の娘"だった。
やがて世界中で時間の消失が加速する。
一週間が消える。
季節が消える。
未来が消える。
人類は選択を迫られる。
時間を救うのか。
時間を終わらせるのか。
それとも――。
これは、
忘れられた時間たちの物語。
そして、
時間から人類へ送られた、最後の遺書の物語。
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