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『如水逆行~壊れた軍師・官兵衛、今度こそ天下を盗る~』

作者:あちゅ和尚
最新エピソード掲載日:2026/06/26
 慶長九年、京都伏見。

 死の床にあった黒田如水は、祈祷文とロザリオを胸に置き、静かに最期を迎えた。

 有岡の牢。
 秀吉の天下。
 関ヶ原の九州。
 そして、届かなかった天下。

 すべてを見届けた老軍師の胸に、ひとつだけ消えぬ思いがあった。

 まだだ。
 わしは、まだ一度も天下を盗っておらぬ。

 次に目を開けた時、如水は若き日の黒田官兵衛に戻っていた。

 まだ小寺家に仕える身。
 まだ有岡の牢には入っていない。
 まだ秀吉にも、信長にも、家康にも、運命を握られていない。

 だが中身は、裏切りと幽閉と天下の行方を知り尽くした、壊れた如水のままだった。

 小寺は器にあらず。
 信長は火。
 秀吉は飢えた猿。
 家康は沼。
 毛利は網。

 ならば、わしは闇になる。

 二度目の官兵衛は、もう誰の軍師にもならない。

 主家を救うふりをして小寺を喰らい、播磨を握り、信長も秀吉も家康も届かぬ場所から、今度こそ天下を盗る。

 これは、壊れた軍師が若き日に戻り、誰よりも早く天下へ手を伸ばす物語。
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