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世界は勇者を待っている。よろしい、ならば勇者(自称)の俺が行こう

作者:s
最新エピソード掲載日:2026/06/08
前世でやり込んだRPGの世界に転生した。

だが、俺がなったのは勇者ではない。
ラスボスでも、賢者でも、勇者の親友でもない。

勇者になる少年に、洞窟の不穏さを伝えるだけの村人。
一言喋ったら役目終了の、ほぼ背景人物だった。

――ふざけんな。

せっかくゲーム世界に転生したのに、ウサギを狩って一生を終えるなんて冗談じゃない。
俺だって冒険したい。
魔物を倒したい。
感謝されたい。
主人公っぽいことがしたい。

そんな浅ましい願望と、ほんの少しの勇気で、本来の勇者が救うはずだった商人を助けた俺は勢いで名乗ってしまった。

「勇者だ」

完全にノリだった。
嘘だった。
ただの自称だった。

けれど、その一言は思っていたよりずっと重かった。

助けた商人は俺を本気で勇者と信じ、噂は広がり、期待は膨らみ、いつしか俺は、自分でついた嘘に追いかけられることになる。

これは、勇者ではなかったモブが、勇者を名乗ってしまったせいで、逃げられないまま誰かを助け続ける物語。

聖剣はない。
神託もない。
才能もたぶん地味。

それでも、目の前で助けを求める声がしたなら。

――よろしい。
ならば勇者〈自称〉の俺が行こう。
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