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アリバイ株式会社

作者:ぽむぽむ
最新エピソード掲載日:2026/11/06
2009年10月、殺人容疑で逮捕された黒崎颯一は無実を訴えた。しかし、コンビニの防犯映像に刻まれた「午後9時02分」が不利な証拠となり、弟で科捜研職員だった隆史が時刻の正確性を十分に確認せず署名した報告書も、有罪判決を後押しした。兄は名誉を回復できないまま死亡。17年後、罪悪感を抱えた隆史は、冤罪に苦しむ人々に偽の防犯映像や証言を提供する「アリバイ株式会社」を営んでいた。無実を守るためなら嘘も必要だと信じて。

ある日、岡野由里子という女性が3000万円を持って現れる。「明日の午後9時、私は殺されます。夫のアリバイを作ってください」。元警察官の高瀬遥は反対するが、隆史は依頼を受諾。予告どおり由里子は殺害され、夫には完璧なアリバイが成立する。

やがて匿名で届いた依頼人名簿から、過去の依頼人たちが相次いで不審死を遂げていたことが判明する。最後には隆史自身の名前もあった。死んだはずの由里子の声による電話、改ざんされた映像、消された供述調書。調査を進める隆史たちは、由里子が17年前に兄を犯人と証言した女性であり、受付の琴美は兄の娘、遥の父は兄の無実を裏づけるはずだったコンビニ店長だと知る。

事件を覆す鍵は、映像と壁時計がともに12分進んでいた事実だった。隆史は、かつて証拠の欠陥を知りながら見過ごした自分の罪と対峙する。一連の殺人と偽装を操っていたのは、会社の顧問弁護士で、17年前の公判に関わった元検事・宮坂亮平だった。殺人容疑で追われる隆史は、仲間とともに記録を検証し、宮坂の偽装アリバイを突き崩す。

兄には再審で無罪が言い渡される。しかし失われた時間は戻らず、隆史自身も証拠偽造の責任を免れない。服役を終えた彼が戻ったのは、嘘を作る会社ではなく、事実を検証する小さな相談室だった。「アリバイを作れませんか」と頼む女性に、隆史は初めて偽造を断る。

証明できないことと、有罪であることは同じではない。その当たり前の真実に、彼は17年かけてたどり着く。
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