↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

英雄が来なかった町 ―三百十二人を数えた記録官―

作者:遠野 圭
最終エピソード掲載日:2026/08/10
山と川に挟まれた宿場町レフナで、小さな異変が続いていた。

井戸水の濁り。 温かくなった地下倉庫の壁。 街道に走る亀裂。 山から姿を消した獣たち。

中央監査庁の若い記録補助官ユスト=カレルは、それらが一つの災害の前触れではないかと疑う。

しかし、ユストには町を避難させる権限がない。
守備隊長は町長の命令を待ち、町長代理は鉱山技師の判断を待つ。医務官は患者を治療できるが、町全体を動かすことはできない。

誰も町を見捨てようとはしていなかった。 誰もが、自分にできる仕事をしていた。

それでも、誰が最初に避難を決めるのかだけが、どこにも書かれていなかった。

やがて町は、近隣を巡る英雄へ救援を求める。
英雄が来れば、きっと助かる。
そう信じる人々の中で、宿屋の少女リナがユストへ尋ねた。

「英雄が来なかったら、誰が鐘を鳴らすの?」

これは後に、人を救う制度を作る整序官となった男が、三百十二人の名前を数えた夜の物語。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。