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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

死に戻る王子を、記録官だけが覚えている 〜本人も忘れた失敗を、僕だけは知っている〜

作者:セルヴォア
最新エピソード掲載日:2026/05/06
王宮記録局で働く下級記録官イツキは、ある朝ありえない文書を見つけた。
それは、明日の日付で出された第三王子アルトの処刑命令書。しかも署名欄には、僕自身の名前があった。

もちろん、そんな書類を書いた覚えはない。
けれど紙質も印も本物で、ただの偽造では片づけられなかった。

この王宮では、正式な記録が強い力を持つ。
命令書、裁判記録、婚約証書、報告書。
そうした記録は人の運命だけでなく、立場や罪まで決めてしまう。
そして僕には、改ざんされた記録に残る小さな傷を読む力があった。

削られた名前。震えた署名。にじんだ血。余白に残った消えかけの一文。
そこには、誰にも覚えられていない失敗が残っている。

やがて僕は知る。
第三王子アルトは死ぬたびに世界を巻き戻しているのに、当の本人は何も覚えていないのだと。
残るのは、説明できない恐怖と痛みだけ。
前の世界の失敗を覚えているのは人ではなく、捨てられずに残った記録だけだった。

剣も魔法もない僕にできるのは、記録の傷から前の失敗を読み解くことだけ。
けれどそれこそが、王子を救うためのたったひとつの手がかりだった。

王子を守るはずの女騎士は、前の世界では彼を処刑した側かもしれない。
王宮では継承争いと記録改ざんが進み、都合の悪い失敗も、誰かの善意も、簡単になかったことにされていく。

これは、死に戻る王子を最強の力で救う話じゃない。
本人も忘れた失敗を拾い集めて、壊れた信頼を何度でも作り直しながら、王子と王国の破滅を防ぐ物語だ。

失敗は消えない。
残りさえすれば、未来を変える証拠になる。
明日の日付の処刑命令書
2026/05/01 13:29
僕の署名
2026/05/01 13:29
処刑対象は第三王子
2026/05/01 13:30
余白の傷
2026/05/04 23:02
覚えていない王子
2026/05/06 00:12
処刑官の護衛
2026/05/06 10:52
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