表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

午後六時十三分、止まった時計は未来を刻み始めた ― 波間で拾った青い小箱がつないだ十一人目の記憶 ―

作者:乾為天女
最新エピソード掲載日:2026/07/21
豪雨の翌朝、青年・貫人は川辺で波間を漂う青い小箱を拾う。中には、古びた時計の部品と一枚の記録カード、そして存在しないはずの「十一人目」の名前が記されていた。
調査に加わったのは、霊感を持ちながらも他人との距離を測り続けてきた和馬、冷静な分析力を持つ恵唯、細部を見逃さない修復士・琴葉。四人は、半世紀近く前に造成された住宅地「自然堤防地区」で、住民たちが互いの仕事や暮らしを交換しながら支え合っていた歴史を知る。
しかし、公式記録には契約住民は十人しか存在しない。それにもかかわらず、交換表には十一人分の役割が残り、時計の内部にも十一人目が関わった痕跡が刻まれていた。
調査を進めるうち、四人は「性能データ区域」と呼ばれる試験記録群へたどり着く。それは住民を数字だけで評価しようとした時代の名残だった。一方、地域の人々は数字では測れない助け合いによって洪水を乗り越えていた。止まった時計が示していた午後六時十二分は、災害の混乱ではなく、誰かが命を守るために未来を選んだ瞬間だったのである。
失われた十一人目の人生をたどる旅は、やがて四人自身の生き方も変えていく。正しさだけでは人は救えず、数字だけでは人生は語れない。他人の人生を完全に理解することはできなくても、寄り添うことはできる。
半年後、保存された時計は再び静かに動き始める。その針が午後六時十三分を刻んだとき、過去を消すのではなく受け継ぐという新しい未来が地域に生まれる。
誰かの人生を知ることは、その人になることではない。それでも、その一歩を共に歩いた記憶は、自分自身の人生を少しだけ豊かに変えてくれる――そんな温かな余韻を描く
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ