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双月

作者:柳瀬 怜
最新エピソード掲載日:2026/08/06
七年目の命日の夜、知らない番号から電話がかかってきた。

「凪さんのことで、お話があります」

七年前、双子の妹を亡くしてから、向坂湊の時間は止まったままだった。誰にも本音を話さず、恋人も作らず、ただ「大丈夫」と言い続けて生きてきた。

電話の相手は、妹の大学時代の友人だった。彼女は七年間、ある約束を守り続けていた。その約束を破ってまで、なぜ今、連絡してきたのか。

やがて明らかになるのは、湊が何も知らなかった、妹のもう一つの顔。

優しすぎたがゆえに、誰にも助けを求められなかった妹。

そして、双月島――瀬戸内海に浮かぶ小さな島で見た、海に映るもう一つの月。

これは、死んだ人の物語ではない。

「生きて」と言われた人間が、どれだけ苦しみ、どれだけ時間をかけて前を向くのかを描く、静かな再生の物語。
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