夜に爆ぜ朝を食い尽くせ
私がまだ幼かったあの日、病床の祖母の魂を迎えに来た死神と出会った。
何も知らない私は、名前が無いと言うその死神にーーーーと言う名前を付ける。
幸運にもと言うべきか、名付けた死神と私はそれから十年以上会う事は無く、故にあの日の記憶は薄れ次第に自らが付けた彼の名前も、会話した事実さえ頭の中から消え去ってしまっていた。
時が経ち、ただの映画好きの女子高生に成長した私は、心待ちにしていたお気に入りのシリーズの新作を観に、学校帰りに映画館へと足を向ける。
変わり映えのない地続きの道。
知らない誰かの、内容の聞こえない話し声。
シネコンの暖房の効いたロビー。
新作映画の宣伝を繰り返すモニター。
昔からお世話になっている安い牛丼並盛。
あまりにも文句無しの平凡だったのは間違いない。
だから、あの音が聞こえた時、私は心底嫌な予感がしたのだ。
音の正体が何なのか分からないまま咄嗟に駆け出すと、今度は声が聞こえる。
「逃げろ」
味方だと言うその声に導かれるままに私は走った。
そして私は、映画よりももっと不条理な、鏡合わせの世界へと半ば強制的に投げ出されていくのだった。
何も知らない私は、名前が無いと言うその死神にーーーーと言う名前を付ける。
幸運にもと言うべきか、名付けた死神と私はそれから十年以上会う事は無く、故にあの日の記憶は薄れ次第に自らが付けた彼の名前も、会話した事実さえ頭の中から消え去ってしまっていた。
時が経ち、ただの映画好きの女子高生に成長した私は、心待ちにしていたお気に入りのシリーズの新作を観に、学校帰りに映画館へと足を向ける。
変わり映えのない地続きの道。
知らない誰かの、内容の聞こえない話し声。
シネコンの暖房の効いたロビー。
新作映画の宣伝を繰り返すモニター。
昔からお世話になっている安い牛丼並盛。
あまりにも文句無しの平凡だったのは間違いない。
だから、あの音が聞こえた時、私は心底嫌な予感がしたのだ。
音の正体が何なのか分からないまま咄嗟に駆け出すと、今度は声が聞こえる。
「逃げろ」
味方だと言うその声に導かれるままに私は走った。
そして私は、映画よりももっと不条理な、鏡合わせの世界へと半ば強制的に投げ出されていくのだった。
第一章 新宿編
第一話 死神とわたしの朧げな記憶
2024/12/01 23:04
(改)
第二話 呆れられても好きなもの
2024/12/03 02:51
(改)
第三話 新宿にて、白服の美少年と出会う
2024/12/05 02:15
(改)
第四話 十三番目のスクリーン
2024/12/15 23:13
第五話 一難去ってまた一難
2024/12/16 00:07
第六話 エレベーターの中で
2024/12/31 01:44
第七話 嘆きの眼
2024/12/31 02:18
第八話 対話と名前
2024/12/31 02:33
第九話 暗転、そして明転
2024/12/31 02:50
第十話 猫の目々
2024/12/31 21:59
第十一話 もう一つの猫の目々
2024/12/31 22:56
第十二話 事件の予兆
2024/12/31 23:12
第十三話 とある神社
2024/12/31 23:29
第十四話 新たな怪物
2024/12/31 23:45
第十五話 優先順位
2025/01/01 00:57
第十六話 その赤は誰のもの
2025/01/01 01:26
十七話 とある死神:夏の記憶と対話
2025/01/01 01:55
第十八話 日曜日の終わり
2025/01/01 02:15