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『王妃はもう業務外です ――冷酷陛下に“愛は不要”と言われたので、三年分の有給休暇を取得して領地経営に専念します――』

あらすじ
王宮は美しかった。
白い大理石。
金糸のカーテン。
夜会に咲く、偽物の笑顔。

その中心で。

王妃は今日も、
誰より早く起き、
誰より遅く眠る。

愛はいらない。
ただ務めを果たせ。

その言葉だけで、
心は静かに擦り切れていった。



積み上がる書類。
終わらない茶会。
眠れない夜。

それでも誰も言わない。

「ありがとう」

の一言さえ。

だから彼女は、
ある日そっとペンを置く。

――長期有給休暇申請書。

未消化、三年分。

復帰予定、
未定。



王妃が消えた朝。

王宮は崩れた。

止まる外交。
回らない予算。
泣き出す文官。

皆ようやく知る。

“当然”のように存在していたものが、
たった一人の犠牲で成り立っていたことを。



領地の風は優しかった。

コルセットを外し、
昼の陽だまりで眠る。

ただそれだけで、
涙が出た。

「……休んでも、
よかったのね」



遅すぎた後悔を抱え、
王は彼女を追う。

けれど彼女はもう、
昔の王妃ではない。

静かに笑い、
まっすぐ告げる。

「私は備品ではありません」

その言葉は、
どんな剣より強かった。



そして今日も、
定時の鐘が鳴る。

紅茶を飲みながら、
彼女は少しだけ微笑む。

もう誰にも、
人生を搾取させないために。
Nコード
N7465MF
作者名
かおるこ
キーワード
キーワードが設定されていません
ジャンル
異世界〔恋愛〕
掲載日
2026年 05月22日 21時26分
最終掲載日
2026年 05月22日 22時27分
感想
1件
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352pt
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文字数
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