- あらすじ
- 私の名前は、もう、念のためと呼ばれない。
三年、夫の口から出るその四文字を、私は数えてきた。
朝食の白湯に浮かぶレモンの皮ほど、軽い四文字。
その朝、夫は商会の令嬢を改鋳の主任に据えた。
私の印は、最後にひとつ押せばいい、と言われた。
私は、最後の試金石を白布にしまった。
戻る先は、実家ではない。
三年休んでいた、自分の机だ。
地金の小数点は、誰の印が飾りだったかを正直に教える。
中央から来た監察使は、まず私の控えから疑った。
私はそれを当然と思い、青表紙の台帳を差し出した。
私はもう一度、どの紙に、誰の名前のために、印を押すのか。
それを、まだ、決めていない。
- Nコード
- N5250MG
- 作者名
- 九葉(くずは)
- キーワード
- 異世界恋愛 女主人公 西洋 既婚 政略結婚 ざまぁ 職業もの シリアス
- ジャンル
- 異世界〔恋愛〕
- 掲載日
- 2026年 05月29日 11時29分
- 最終掲載日
- 2026年 05月29日 11時29分
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念のためと夫に呼ばれ続けて、三年目の朝が来た
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