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潮待ちのレール ― 夏の船着場 ―

あらすじ
東京へ戻った湊は、以前のように仕事へ戻りきれずにいる。
広告の言葉と、自分が春口で触れた沈黙の重さのあいだにずれを感じながら日々を過ごしていたある日、汐里から短い連絡を受ける。

「今年の夏、少し町の空気が違う気がする」

春口へ再訪した湊は、宿に長期滞在する一人の女性客と出会う。
彼女は四十代前半、東京で編集者として働いてきた人物で、亡くなった姉の遺品の中から、瀬戸内の古い乗車券と船の半券を見つけたことをきっかけに春口へ来ていた。
姉は若いころ、ある夏に春口を訪れて以来、その土地についてほとんど語らなかった。
しかし遺品には、春口の港を描いたスケッチと、「迎えに来ると言った人が、最後まで来なかった」という一文だけが残されていた。

湊はその女性と関わるうち、自分がかつて父について追った「待たされた時間」と、目の前の彼女が抱える「迎えの来なかった記憶」が、別の時代の春口で繰り返されていたことに気づく。
観光客が増え、町が少しずつ外へ開き始める夏の明るさの中で、春口は再び、誰かの“途中”を受け止める場所となる。
Nコード
N2543MC
シリーズ
潮待ちのレール
作者名
たむ
キーワード
現代
ジャンル
純文学〔文芸〕
掲載日
2026年 04月24日 15時00分
最新掲載日
2026年 04月27日 15時00分
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