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ハズレスキル【研ぎ】で工場をクビになった俺、祖父の研ぎ屋でダンジョン帰りの剣を研いだら、誰も斬れなかった魔物が一太刀で斬れてS級探索者が行列を作っている

作者:みれいぬ
最新エピソード掲載日:2026/11/04
坂井直、二十歳。十五歳でダンジョンに入って授かったスキルは【研ぎ】。協会の判定は「生活系・戦闘適性なし」で、高校を出て就職した武具メーカーの研磨工場では、一時間に六十本の剣を機械に通すだけの毎日だった。「手で研ぐのは趣味でやれ」。刃を余分に削れという指示を断った日、課長は三十日分の手当の封筒を置いて、俺をクビにした。帰った先は、千葉・市川の国府台ダンジョンの門前町にある、祖父の小さな研ぎ屋。手が震えて刃を研げなくなった祖父の店に、その日、近所の定食屋の娘が一本の刀を抱えて駆け込んでくる。「メーカーに、寿命だって言われたの。あと一回研いだら折れるって」折れない。曇っているだけだ。俺のスキルは、機械に刃を当てても何も起きない。祖父に十二年仕込まれた手で、砥石の上を往復させたときにだけ、曇った刃が魔物の守りを裂く刃に生き返る。俺はそれを、刃が起きる、と言う。研ぎ上がった刀で、彼女は第四層の主の鎧を、一太刀で割った。「振ってみせてくれ。研ぐのは、それからだ」門前町の小さな研ぎ屋の前に、探索者が並び始める。会社が「当たり」と呼んで高く売っていた刃を、誰が研いでいたのか。それを会社がまだ知らないうちに。
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