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神獣はドロップしないので解体します  〜戦闘狂の相棒と、眠そうな解体師の異世界素材録〜

作者:辶
最新エピソード掲載日:2026/06/27
灰見朔太郎は、ゲームに詳しくない。

背が高く、目元は眠そうで、何を考えているのか分かりにくい。
ただし、刃物の扱いと生き物の身体を見る目だけは異様に確かだった。

ある日、朔太郎はゲームに今でもハマっている友人・鳴瀬迅に誘われ、オンライン対応アクションRPG《神域獣譚》を始めることになる。

戦闘好きの迅は、神獣種ボスや素材集め、攻略情報に詳しい現役のやり込み勢。
一方の朔太郎は、ほとんど何も知らない初心者だった。

しかし、ゲーム開始直後、2人はキャラクター作成もチュートリアルも飛ばして、見知らぬ森へ転移してしまう。

そこは《神域獣譚》によく似た世界。
だが、画面もUIもコントローラーもない。
痛みがあり、匂いがあり、倒した魔物の死体は消えない。

そして2人は、森の奥で死にかけた白い巨獣と出会う。

人々はそれを、森の神として祈っていた。
迅はそれを、ゲーム知識から神格存在ではなく「神獣種」だと知っていた。
朔太郎はその身体を見て、静かに言う。

「これは、神じゃないと思う。」

胃がある。
歯が減っている。
古傷がある。
血が流れ、肉が傷み、死ねば腐る。

ゲームでは、神獣は倒せば素材を落とした。
だが、この世界では違う。
素材は光になって落ちない。
すべて、死体についている。

戦うのは迅。
捌くのは朔太郎。

神として祈られた獣を、神ではない生き物として見つめる眠そうな解体師は、今日も静かに刃を入れる。
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