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春を忘れた令嬢と、花を食べる小さな竜

作者:明石竜
最終エピソード掲載日:2026/09/03
春になっても、フローレンス領では一輪の花も咲かなかった。母を亡くして以来、「自分が触れた花は枯れる」と信じてきた伯爵令嬢リアンヌ。ついには領地中の花まで蕾を閉ざし、災いの原因と疑われた彼女は、遠縁の修道院へ送られることになる。そんな出発前夜、古い温室で出会ったのは、手のひらほどの小さな竜・フィオだった。
「我は花を食べておるのではない。花に残った思い出を味わっておるのじゃ」
花竜を名乗るフィオによれば、花が咲かない原因は病でも呪いでもないという。さらにリアンヌ自身にも、花に残された“声”を聞く不思議な力があることが分かっていく。
植物を調べる隣領の青年ユリウスも加わり、三人は止まってしまった春の謎を追うことに。忘れられた悲しみと記憶をたどりながら、一人の令嬢が自分自身の力と居場所を取り戻していく、花と記憶の再生ファンタジー。
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