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「幼馴染が寂しがるから」と婚約者が言うので、幼馴染さんの分の席も用意しました。わたしの席は、王弟殿下の隣です ~名前の出ない席次係の伯爵令嬢は、今夜も王弟殿下の隣に座らされる~

作者:みぎみみ
最新エピソード掲載日:2026/11/06
「カトリーナが寂しがるから」
婚約して二年。劇場でも、遠乗りでも、花祭りでも、婚約者フレデリックの隣にはいつも幼馴染のカトリーナがいた。伯爵令嬢エステルの席は、柱の陰の補助椅子。

王宮の晩餐会の席次を、五年前から名前を出さずに決めてきたのは、エステルだった。
誰と誰を隣にすれば話がはずむか。誰を誰から遠ざければ揉めないか。二百人の名札を並べて、ぴたりと収まったとき、胸の奥で小さな鈴が鳴る。その音を聞けるのは、自分だけのはずだった。

慈善晩餐会にまで「カトリーナの同伴者として行く」と言われた日、エステルは静かにうなずいた。
婚約者の隣には、幼馴染さんの名札を。
そしてわたしの名札は――三年前から「誰がこの席を決めているのか」を探していた、王弟アルベルト殿下の隣に。

すり替えられた名札、隣国の大使の晩餐、五百人の大祝宴に仕組まれた罠。
名札一枚で王宮を守る席次係と、「待つのは得意だ」と言う王弟殿下の、文庫一冊ぶんの恋。

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