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十四 顕実と真薫
真薫の屋敷。
顕実が、訪れた。
「真薫」
「顕実殿」
「終わったな」
「はい」
顕実は、不機嫌そうに言った。
「父上は、出立なされた」
暴れて、無理矢理牛車に詰め込まれての出発であることは告げなかった。
それは実薫には関わりないことだ。
藤原氏長者として、これからは顕実が藤原家を支えていかねばならない。
源氏に押しつぶされぬよう、家を守る。
父とは違うやり方で。
「別に、悲しくなんかないぞ」
顕実は、顔を逸らした。
「当然の報いだ」
「……」
「ただ……」
顕実は、小さく言った。
「背を押してくれたお前に、感謝する」
顕実も、道顕に引きずられ、飲み込まれ――
人ならぬものの道へと、踏み込んでいたかもしれない。
自分一人では抗えなかった。
きっと。
真薫は、驚いた。
「顕実殿……」
「勘違いするな」
顕実は、不機嫌そうに言った。
「別に、友人だからとかじゃないからな。ただ、対等な相手として、認めただけだ」
顕実は、真薫の肩を叩いた。
まっすぐに、眼を合わせた。
「これからも、好敵手でいてくれ」
真薫は、微笑んだ。
「はい」
二人は、笑い合った。
大学寮の学生だった頃のように。




