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式部省の呪詛係  作者: 浮田小葉子
第十三章 断罪
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十五 真薫の想い

 真薫の屋敷。

 真薫は、庭を見た。


 葉月(八月)の夜。

 蛍が飛び交っている。


 風が吹いている。

 虫の声が聞こえる。


 真薫は、静かに立っていた。


 長い戦いが終わった。

 道顕は、破滅した。


 しかし、真薫の心はまだ落ち着かなかった。


(これで、よかったのだろうか)


 真薫は、自問した。


(多くの人が、苦しんだ)

(多くの人が、犠牲になった)

(しかし、道顕様も、人だった)

(一人の、人間だった)


 真薫は、複雑な想いを抱いていた。


 しかし……。


(それでも)

(顕実殿は笑ってくれた)


 真薫は、思った。


(これで、よかったのだ)

(これ以上の犠牲は、出ない)

(それだけで、十分だ)


 真薫は、静かに微笑んだ。

 風が、吹いた。


 優しい風。

 しかしその中にわずかな冷たさがあった。


 眼にはまだ見えない、秋の気配。

 真薫は、その気配を感じながら、ただ立っていた。



 新しい季節が、始まろうとしていた。

 真薫の、新しい戦いが。



 しかし、それはまた、別の物語である。


——第一部、完。

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