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七 兼遠の報告
その日の午後。
帝の使者として蔵人頭が、正式に式部省を訪れた。
「式部大丞藤原兼遠」
「は」
「帝の命により、呪詛事件の調査を命じる。特に、麗景殿女御への呪詛について、詳細な報告を求めるものである」
兼遠は、頭を下げた。
「承知いたしました」
兼遠は、真薫を見た。
「真薫くん」
「はい」
真薫は、手箱を開けた。
十二個の裏帳簿。
麗景殿女御潔子の呪詛について認めた調書。
そして、兼遠が書き溜めた、十八年分の記録。
すべてを、蔵人頭に差し出した。
蔵人頭はその場で検めることは無かった。
だが、確かに受け取り、慎重に頷いた。
「これで……」
真薫は、呟いた。
「これで、終わります」
兼遠は長く息を吐いた。
「真薫くん、よく頑張った」
「いえ」
真薫は、首を振った。
「私一人の力ではありません。兼遠殿も、定明殿も、顕実殿も――。多くの人が、支えてくれました」
兼遠は、微笑んだ。
「そうだな」
蔵人頭は裏帳簿を手に、清涼殿に向かった。




