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式部省の呪詛係  作者: 浮田小葉子
第十三章 断罪
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一 夜明け

 翌朝。


 式部省。


 藤原真薫(ふじわらのちかゆき)藤原兼遠(ふじわらのかねとお)は、安倍定明(あべのさだあきら)から報告を受けた。


「昨夜、麗景殿で呪詛が行われました」


 定明は、疲れた顔で言った。


 一晩中、秦明の看病をしていたのだろう。

 目の下に、隈ができている。


「僕が、阻止しました。しかし、同僚が……」


 定明の声が、わずかに震えた。


「呪詛の余波で倒れました。幸い、命に別状はありません」


 真薫は拳を握りしめた。

 兼遠は深く息を吐いた。


「道顕様が、またやったのか……」

「おそらくは」


 定明は、頷いた。


「呪詛を行ったのは、法師陰陽師でした。呪詛を生業(なりわい)としている者に、心当たりがあります。そいつの住処を、知り合いの武官に当たってもらおうと思っています」


 定明は実薫を見た。


「実薫殿なら、証拠を確保しようとするでしょう。僕もそうします。そいつの証言を取りましょう」


 真薫は立ち上がった。


「――もう、待てません」


 握り締めた拳が震えていた。


「道顕様は、今まさに潔子様を害そうとしました。これ以上、犠牲者を出すわけにはいきません」


 兼遠はゆっくりと息を吐いた。

 そして、頷く。


「そうだな」


 兼遠は、真薫の肩に手を置いた。


「時が来た。裏帳簿を、使う」


 真薫は、頷いた。


「はい」


 定明も、頷いた。


「僕も、協力します」

「ありがとう、定明殿」


 真薫は、定明の肩を叩いた。


「一緒に、戦いましょう」

「はい」


 定明は、疲れた顔で微笑んだ。


「僕、強くなりましたから」


 その笑顔には、確かな強さがあった。


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