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『黒鎌のロア:神の盤面を燃やす王』

作者:Akarino−Hiro
最新エピソード掲載日:2026/05/14
処刑台の上で、王が断ち切ったのは「首」ではなかった。
それは、運命という名の縄だった。

身の丈ほどもある禍々しい黒鎌を担ぐ若き王、ロア・ヴェル・レヴェン。

放蕩。悪逆。快楽主義。
臣下を振り回し、敵を嘲り、民にすら甘い慈悲を見せぬ冷酷な王。

飢えという地獄に追い詰められ、穀物庫を襲い、徴税官の館に火を放った反乱者たち。
王は、彼らの罪を許さない。

だが、殺しもしない。

黒鎌が一閃する。
戒めの縄が、ばらばらに弾け飛ぶ。

処刑台から地べたを這う民を見下ろし、王は告げた。

「食うために奪ったなら、生きて返せ。生きることを奪ったなら、命で返せ」

飢えた民には、明日という苛酷な日を生き抜くための罰を。
意図的に飢えを作り出した強欲には、容赦なき黒鎌の死を。

善王ならば、哀れな民に救いの手を差し伸べただろう。
だが狂王ロアは、絶望の淵に沈む民に命じた。

自ら立て、と。

時を同じくして、大陸の歯車が砕け散る。

大陸の半分を呑み込んでいた巨獣、アステル帝国の崩壊。
皇帝の暗殺。
帝国を真っ二つに裂いた元帥、レオ・ヴィクト・クロムの反逆。

七つの王権が血で血を洗う、狂乱の戦国時代が幕を開けた。

ロアの覇道に集い、あるいは立ちはだかるのは、まともな者など一人としていない異端の徒ばかり。

王の暴走に胃を焼かれる【胃痛】の宰相ラウル。
神より金貨に祈りを捧げる【守銭奴】の僧ニコ。
己の美学で戦場を灰燼に帰す【赫灼】の魔女ヴィヴィ。
飯と戦と強い女を愛する【獣腹】の戦士バン。
酒瓶の底に魂を沈めた【泥酔】の剣士ジン。

欠けている。
歪んでいる。
どうしようもなく危うい。

だが、その問題児たちこそが、ロアの狂気を刃に変え、国を前へ進ませていた。

やがて、血塗られた戦乱の最奥で、ロアは世界の真実に触れる。

この歴史には、盤面の裏からすべてを操作する存在がいた。

戦争も、英雄の誕生も、国家の滅亡さえも。
すべては人間という種が自滅しないよう、冷徹に調整されていた。

古代の神、ノア。

「人間は不完全ゆえに、管理されねばならない」

無機質な神はそう告げる。

「不完全だからこそ、人間は自由だ」

狂王は、そう嗤い飛ばす。

黒鎌のロアは、神が敷いた退屈な生存計画を真っ向から叩き斬る。

これは、誰にも飼い慣らされない王が挑む、神殺しの戦争の記録である。
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