表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

噴火まで十七年、ポンペイの水道技師に転生しました ~街は救えないので、逃げ道と習慣を作ります~

作者:ramune
最終エピソード掲載日:2026/07/25
水道局で維持管理ひとすじ、四十年。

定年の朝、感謝状の一枚ももらえずに倒れた男が目を覚ますと、そこは大地震の直後のポンペイだった。西暦六二年――ヴェスヴィオ噴火の、十七年前。

俺は、知っている。この街が灰と軽石に呑まれることを。逃げ遅れた者から死ぬことを。

だが、二万人の街に「山が火を噴くから逃げろ」と叫んだところで、狂人の説教が一つ増えるだけだ。信じてもらえなければ、水道を触らせてもらえなくなる。逃げ道を敷く手立ても、そこで消える。

だから、俺は説教をしない。

水道を直す。浴場を直す。噴水の水圧で街の人気者になり、井戸の水位と匂いを毎日書き付ける「水帳」をつける。祭りの日に「街道を歩いて隣街まで行く」行事を根付かせ、一里塚ごとに水甕と松明を据える。

やることは、全部ただの土木と、近所付き合い。

それが十七年後、避難路と、避難訓練と、避難先に化ける。

噴火は止められない。歴史も、変えられないかもしれない。それでも、配管工には配管工の戦い方がある。

――「逃げろ」と叫ぶ代わりに、逃げ道を、舗装しておくのだ。

街は救えない。それでも、歩ける者は、歩かせる。

無双もチートもない、古代ローマの防災お仕事もの。あるのは、水道と、祭りと、指折り数える十七年だけ。
1. 水は、まず辻へ
2026/07/20 22:40
2. 弁の値段
2026/07/21 01:10
3. 山の息
2026/07/21 06:30
4. 湯気の戻る日
2026/07/21 09:30
5. 竈と指輪
2026/07/21 12:10
6. 盗み水
2026/07/21 15:10
7. 川の道
2026/07/21 18:10
8. ヌケリアの粉
2026/07/21 21:10
9. 泉の祭
2026/07/21 23:10
12. 敷石の理由
2026/07/22 15:20
13. 悪い水
2026/07/22 18:30
14. 子供綱
2026/07/22 21:20
15. 解放の署名
2026/07/22 23:50
16. 客人の家
2026/07/23 06:40
18. 山腹の畑
2026/07/23 12:10
19. 署名の日
2026/07/23 15:30
20. 提督の客
2026/07/23 18:30
21. 旗が立つ
2026/07/23 21:30
25. 松の木の雲
2026/07/24 12:30
26. 灰の道
2026/07/24 15:30
27. 松明の列
2026/07/24 18:30
28. 朝の黒い雲
2026/07/25 00:20
29. 水道屋の膝
2026/07/25 08:30
30. 山の頁
2026/07/25 12:30
31. 定年
2026/07/25 15:30
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ