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水守異聞 潮の井戸が眠る島

作者:天手古まい
最終エピソード掲載日:2026/08/27
 九州の西に浮かぶ離島・汐路島。

 高校二年生の平山紬は、亡くなった祖母の家を片づけながら、卒業後に島を出る日を待っていた。

 そんな折、台風によって海底送水管が破損。島の水が尽きようとするなか、頼みの古井戸から汲み上げられたのは、潮の味がする水だった。

 その夜、紬は井戸の水面に青い衣の少女を見る。

「私は水を生みません。ただ、水が通った道を覚えているだけ」

 自らを「水守」と名乗る少女が示したのは、祖母の童歌と、島から忘れ去られた古い水路。

 水守は奇跡を起こさない。

 閉ざされた水の道を開くかどうか、選ぶのは人間だった。

 これは、三十六の伝承にはまだ記されていない、現代に生まれた新たな水守の物語。

 水は、道を忘れない。

 忘れるのは、いつも人の方だからだ。
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