婚約破棄された翌朝、国王陛下が私を〈次の王〉に指名しました ~元婚約者様、ひざまずく練習はお済みですか?~
最新エピソード掲載日:2026/10/23
「ジーグリット・ローエンシュタイン。君は王妃の器ではない。婚約を破棄する」
卒業夜会の大広間。王太子フリートヘルム殿下の腕には、頬を染めた男爵令嬢ベッティーナ。
私は扇を閉じ、言われた言葉をそのまま繰り返した。
「『王妃の器ではない』。――承りました」
この六年、殿下の演説も、治水の計画書も、隣国への親書も、書いたのはすべて私だった。
口癖は「殿下のお考えです」。手柄を自分の名で出したことは、一度もない。
翌朝。謁見の間に呼び出された私の前で、国王陛下は欠伸まじりに言った。
「王妃の器でないなら、王の器だろう。余の次は、そなたが継げ」
六年分の下書きの束を、陛下はすべて読んでいらしたのだ。
「それからフリートヘルム。今日からお前は、この子の補佐官だ。お前がやらせていた仕事を、今度はお前がやれ」
戴冠は一年後。そのためには、諸侯二十四家のうち十三家の署名が要る。
元婚約者は自分の演説を三行で詰まり、新しい恋人は私の字を真似て原稿をすり替え、王妃様は息子の王冠を取り戻そうと動き出す。
これは、手柄を一度も名乗らなかった私が、一家ずつ署名を集めて王冠をかぶるまでの物語。
卒業夜会の大広間。王太子フリートヘルム殿下の腕には、頬を染めた男爵令嬢ベッティーナ。
私は扇を閉じ、言われた言葉をそのまま繰り返した。
「『王妃の器ではない』。――承りました」
この六年、殿下の演説も、治水の計画書も、隣国への親書も、書いたのはすべて私だった。
口癖は「殿下のお考えです」。手柄を自分の名で出したことは、一度もない。
翌朝。謁見の間に呼び出された私の前で、国王陛下は欠伸まじりに言った。
「王妃の器でないなら、王の器だろう。余の次は、そなたが継げ」
六年分の下書きの束を、陛下はすべて読んでいらしたのだ。
「それからフリートヘルム。今日からお前は、この子の補佐官だ。お前がやらせていた仕事を、今度はお前がやれ」
戴冠は一年後。そのためには、諸侯二十四家のうち十三家の署名が要る。
元婚約者は自分の演説を三行で詰まり、新しい恋人は私の字を真似て原稿をすり替え、王妃様は息子の王冠を取り戻そうと動き出す。
これは、手柄を一度も名乗らなかった私が、一家ずつ署名を集めて王冠をかぶるまでの物語。
1. 王妃の器ではない
2026/10/21 18:23
2. 三行目の演説
2026/10/21 21:10
3. 堤は三度切れた
2026/10/22 15:07
4. 薔薇の匂いの一枚
2026/10/22 23:48
5. 女当主の茶会
2026/10/23 08:10