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少女と日陰と夜の月

作者:4en25_ahn
最新エピソード掲載日:2026/09/26
 「やっと見つけた」

 その声は僕に向けて発せられたものだった。その声は聞こえていたけれど、僕は動かなかった。
 強がりでも我慢でもない。
 ただ、僕の世界に彼女をまだ入れたくなかった。そう思っただけだった。

 「ごめん」

 一日中、何もせずにただ海を眺めていた男の口から漏れたのは、謝罪だった。
 ただその一言は僕の口をするりと抜け出すと、八月のシャボン玉みたいにふわふわと空に昇って、見えなくなった。
 彼女は、そのシャボン玉が割れるまで見続けるほど子供じゃない。

 彼女の手が、するりと僕の右脇に入り込む。
 氷みたいな真っ白な彼女の手が、乱暴に僕を引っ張る。
 立ち上がる。
 彼女は怒っているだろうか。
 それとも呆れているだろうか。
 それとも慰めてくれるだろうか。

 「行くよ」

 彼女の心情を汲み取れるほど、僕は大人じゃなかった。
第一話 少年と少女
2026/09/25 17:28 (改)
第二話 表と裏
2026/09/25 17:28
第3話 タバコと書斎
2026/09/25 22:23 (改)
第4話 夢と現実
2026/09/26 15:47
第5話 憎悪と愛
2026/09/26 21:32 (改)
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