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サポーターが皆のために働いていたら倒れたため、ギルドマニュアルが作成されました

作者:和泉 きよ
最新エピソード掲載日:2026/11/03
 リーゼ・アルヴェイン、二十五歳。王国最大級の冒険者ギルド《黎明の翼》に所属する彼女は、仲間たちを支える優秀なサポーターだ。

 戦闘中の支援魔法はもちろん、物資の管理、探索の準備、情報の整理、仲間への細やかな気配りまで。誰かが困る前に気づき、頼まれれば断らず、気がつけば自分の仕事を増やしてしまう。そんな彼女の献身によって、ギルドの活動は円滑に進んでいた。

 しかし、皆が当たり前のように受け取っていた日常は決して当たり前ではなかった。

 限界まで働き続けたリーゼは、ついに過労で倒れてしまう。

 彼女が不在になって初めて仲間たちは気づく。今までどれほど多くの仕事が、彼女一人の知識と経験、そして善意によって支えられていたのかを。

 ギルドを率いるガイウスは、このままではいけないと決意する。特定の誰かの頑張りに頼るのではなく、皆が自分の役割を理解し、互いに助け合える組織を作ろう。その第一歩として始まったのは、仕事の分担を明確にし、情報共有や相談の手順をまとめたギルドマニュアルの作成だった。

 けれど、長年続けてきた習慣は、そう簡単には変わらない。仕事を任せることへの不安、助けを求めることへのためらい、善意から生まれる負担の偏り。新しい仕組みを試すたびに、彼らは思いがけない問題に直面していく。

 やがて、ギルドを取り巻く状況は、未踏の古代遺跡で起こる不可解な現象によって、さらに大きく動き始める。未知の危険に立ち向かうために必要なのは、誰か一人の強さなのか。それとも、仲間たちが互いを信じ、それぞれの力を持ち寄ることなのか。

 そして、リーゼ自身もまた大切なことを学んでいく。

 誰かを支えることは、その人の代わりに全てを背負うことではない。自分にできることを果たしながら、ときには誰かの手を借りること。役に立てない時間があっても、自分の居場所を信じること。

 支える人にも、支えがいる。

 これは、優しさゆえに頑張りすぎてしまう一人のサポーターと、彼女を大切に思う仲間たちが、失敗と対話を重ねながら、誰も一人で無理をしなくても前へ進めるギルドを築いていく物語。

 仲間との絆、組織の成長、未知の遺跡に挑む冒険。そして、互いを支え合う日々の中で、少しずつ育まれていく大人の恋。

 誰か一人が背負う強さから、皆で歩き続ける強さへ。

 黎明の翼の、新たな物語が始まる。
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