猫の滴り
最新エピソード掲載日:2026/07/25
浜崎詩織、三十二歳。
東京に出てきて十年が過ぎた。短大をでた後は、逃げ出すように山深い九州の実家を出た。
二度と戻るつもりは無かったが、大好きだった叔母が亡くなった。
ブラック気味のITエンジニアとなった詩織は、仕事に明け暮れており、叔母の葬儀にも出る事ができなかった。
ITエンジニアにとって、夏休みは休みの時しかできない仕事がやってくるゴールデンタイムだった。
だが、何故か今年は何の予定もなく、普通に夏休みが取れてしまった。
── 叔母さんの初盆だし、同窓会もあるから帰ろうかしら
詩織にとって、久しぶりの帰郷となる。
ただ、何故だろう?
あまり深く考えた事はなかったが、大好きだった叔母さん。
大好きだった事以外、何も覚えてなかった。
あれ?
思い出そうとすると、なんだかぼーっとして、頭も痛くなる。
叔母さんの後ろ姿…
微かに漂うカビの臭い。
そして、滴る音?
ぐるぐる回っている。
あ、そうだ、この音…前に…
『こら、詩織ちゃん…見ちゃダメでしょ?』
東京に出てきて十年が過ぎた。短大をでた後は、逃げ出すように山深い九州の実家を出た。
二度と戻るつもりは無かったが、大好きだった叔母が亡くなった。
ブラック気味のITエンジニアとなった詩織は、仕事に明け暮れており、叔母の葬儀にも出る事ができなかった。
ITエンジニアにとって、夏休みは休みの時しかできない仕事がやってくるゴールデンタイムだった。
だが、何故か今年は何の予定もなく、普通に夏休みが取れてしまった。
── 叔母さんの初盆だし、同窓会もあるから帰ろうかしら
詩織にとって、久しぶりの帰郷となる。
ただ、何故だろう?
あまり深く考えた事はなかったが、大好きだった叔母さん。
大好きだった事以外、何も覚えてなかった。
あれ?
思い出そうとすると、なんだかぼーっとして、頭も痛くなる。
叔母さんの後ろ姿…
微かに漂うカビの臭い。
そして、滴る音?
ぐるぐる回っている。
あ、そうだ、この音…前に…
『こら、詩織ちゃん…見ちゃダメでしょ?』