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「封をするだけの加護で、騎士の妻が務まるか」と婚約破棄された令嬢、辺境で保存食の瓶を封じたら、辺境伯様の騎士団が二百年ぶりに魔の森の奥へ進みました

作者:みれいぬ
最新エピソード掲載日:2026/10/29
メーレン伯爵家の長女リゼル、十九歳。十五の洗礼で授かった加護は【封緘】――手紙に封蝋を押すだけの、書記の家の下働きと笑われる加護だった。それでも祖母に習った瓶詰めだけは、十歳から一度も欠かさなかった。「封をするだけの加護で、騎士の妻が務まるか」。婚約者エーリクの昇進を祝う夜会で、婚約は破棄された。リゼルは破棄の誓約書を丁寧に畳み、琥珀色の封を押した。騎士の短剣を当てても、その封は切れなかった。それを見ていた北の辺境伯カスパルが、一つだけ尋ねた。「その封で、瓶の口を閉じられるか」辺境の魔の森――通称「三日森」では、持ち込んだ食べ物が三日で黒く腐る。だから二百年、騎士団は森の一日半より奥へ進めずにいた。森の中で、リゼルの封じた瓶だけは腐らなかった。三日目の朝に温かい煮込みを食べた騎士たちが、百年以上誰も越えて戻れなかった「引き返しの岩」を越えていく。瓶詰めを馬鹿にした元婚約者の王都騎士団も、真似た瓶を抱えて森へ向かうらしい。彼女の封をした瓶は、森の中でも腐らない。そして終わった婚約の封は、彼女が解くまで二度と開かない。
二年前の桜桃
2026/10/29 09:50
三日の線
2026/10/29 12:50
三日目の湯気
2026/10/29 17:20
引き返しの岩
2026/10/29 18:50
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