傾国の宝石令嬢
花のかんばせと宝石のような美しい瞳を持った伯爵令嬢、アリアネル。
彼女はただ美しいだけでなく、人びとの心を惹きつける、不思議な魅力を持っていた。
当の本人はそれに自覚がなく、優しい両親と姉兄の庇護のもと、なに不自由なく暮らしていた。
やがてアリアネルは王太子に見初められ、婚約者として王宮に招かれる。
しかし世間知らずの箱入り娘は、王宮でうまく立ち振る舞うことができない。
王太子にはもの扱いされ、王妃からは嫌われてしまう。
また王太子の婚約者であるにも関わらず、美しい少女を我がものにしようと画策する輩もあとを絶たなかった。
しまいには暴漢に寝込みを襲われ、心にひどいトラウマを負う。
伯爵家はこれ以上は我慢ならないと、アリアネルを連れて国外へ逃げようとする。
しかしいざ家を出ようとしたところで、彼らはアリアネルを狙った人さらいの手で殺されてしまう。
アリアネルだけは、駆け付けた王太子の手によって救われるが、彼女は自分のせいで家族は死んだのだと嘆き、その両目を自らの手で焼いた。
宝石の瞳を失い、醜い火傷に覆われたアリアネルは、森に捨てられる。
彼女はそのまま死んでしまおうとしていたが、森に住む魔法使いに拾われ、生きながらえる。
魔法使いの優しさで、アリアネルは笑顔と生きる気力を取り戻していく。
アリアネルは気づけば、魔法使いを愛するようになっていた。
いつまでも共に暮らしていたいと願うようになっていた。
しかし老いた魔法使いに残されている時間は少ない。
彼は最後の力を振り絞って、アリアネルの傷を癒した。
そして自身の瞳を、アリアネルに与えた。
アリアネルは美しい顔を、視力を、宝石の瞳を取り戻した。
けれど魔法使いは、彼女のもとを離れてしまった。
光を取り戻したアリアネルは決意する。
再び王宮に向かうことを。
そして大切なものを取り戻すことを。
*****
ダークな童話風ご令嬢ものです。
やや復讐劇(ですがザマァ要素はありません)
女の子がかわいそうな目にあいます。
美青年魔法使いおじいちゃんとご令嬢の甘い関係があります。
ヤンデレ独占欲王子様がご令嬢に一方的に迫ります。
初投稿です。よろしくお願いします!
0『傾国の宝石令嬢』
2023/06/26 17:49
1『あるところに宝石のような瞳を持つご令嬢がおりました』
2023/06/26 17:54
(改)
2『やがてご令嬢は王子様の心を射止めました』
2023/06/26 17:58
3『けれどご令嬢は、王子様の想いには答えませんでした』
2023/06/26 17:58
4『ご令嬢はお城から姿を消しました』
2023/06/26 17:59
5『強欲なご令嬢は、お妃様になるだけでは、もの足りなかったのです』
2023/06/26 18:00
6『ご令嬢は森に住む魔法使いを訪ねました』
2023/06/26 18:00
7『ご令嬢は魔法使いに願いました。この世で一番美しくなりたい、と』
2023/06/26 18:01
8『優しい魔法使いは、ご令嬢の願いを叶えてやりました』
2023/06/26 18:03
(改)
9『ご令嬢は魔法で、輝く宝石の瞳を手に入れました』
2023/06/26 18:03
10『宝石の瞳をもったご令嬢に、誰もが夢中になりました』
2023/06/26 18:04
11『たくさんの人が、たくさんの贈り物を、ご令嬢に贈りました』
2023/06/26 18:05
12『ついには王様が、国を差し出して、結婚を申し込んできました』
2023/06/26 18:06
13『ご令嬢はお妃様ではなく王様になりました。けれど国のために働こうとはしませんでした』
2023/06/26 18:08
14『それに怒った魔法使いは、ご令嬢の瞳を砕いてしまいました』
2023/06/26 18:09
15『国は滅んでしまいましたが、砕けたご令嬢の瞳が作物となって実り、民の暮らしは豊かになりました』
2023/06/26 18:11
16『めでたし、めでたし』
2023/06/26 18:16