婚約破棄されたので王宮を去ります。三年間、殿下の名前で辺境へ手紙を書いていたのが私だったことは、どうか誰も気にしないでください
最終エピソード掲載日:2026/11/07
「君は地味で、可愛げがない」
晩秋の夜会で、王太子セドリックから婚約破棄を告げられたリディア・ハーヴェル。
話すのが苦手な彼女は、この三年、王妃との約束のもとで、殿下の名前で北の辺境伯へ手紙を書き続けてきた。冬の薬草の手配も、その手紙の仕事のひとつだった。
最後に差し出した引き継ぎの覚え書きは、殿下に払われて床に落ちる。
それを拾い、「あなたの字だ」と告げたのは、手紙の宛先――グラーツ辺境伯アルノルトだった。
「今度は、あなた自身の名前で」
辺境の書記官として、初めて仕事の紙に自分の名前を添えるリディア。けれど王都から届いた殿下の手紙は、三年分の手紙とはまるで違っていて……。
晩秋の夜会で、王太子セドリックから婚約破棄を告げられたリディア・ハーヴェル。
話すのが苦手な彼女は、この三年、王妃との約束のもとで、殿下の名前で北の辺境伯へ手紙を書き続けてきた。冬の薬草の手配も、その手紙の仕事のひとつだった。
最後に差し出した引き継ぎの覚え書きは、殿下に払われて床に落ちる。
それを拾い、「あなたの字だ」と告げたのは、手紙の宛先――グラーツ辺境伯アルノルトだった。
「今度は、あなた自身の名前で」
辺境の書記官として、初めて仕事の紙に自分の名前を添えるリディア。けれど王都から届いた殿下の手紙は、三年分の手紙とはまるで違っていて……。