明晰夢でもし逢えたら

　高校二年生の安久下（あくした）義人（よしと）は、夢を明晰夢として思い通りにするのが得意だったが、もっぱら性的な事ばかりしていた。
　ある夜、夢に出た母校の図書室で、二年から同じ組になった朱野（しゅの）恵理（えり）を見つけ襲おうとするが、思わぬ反撃で返り討ちに遭い、そのまま目覚める。
　夕方、義人が級友の策略で図書委員になった折、女子のそれに恵理が立候補し、彼女の話から、夢が共有されたものであった事が判明。彼女は和解の条件として、再び夢の中の図書室へ来るよう言い、夜、それは半自動的に果たされた。
　和解し、二人で夢の中を調べる内、環境に自分達の認識が反映されている事と、他の生物が全くいない事に気づく。
　翌日、想像認識によって生物が出てこないか試そうという恵理の提案により、二人の記憶をそれぞれに持つ、鮫の因幡（いなば）と、狐の玉藻（たまも）が現れ……