「好きな人ができた」と夫が言っていますが、それはたぶん私です!
最終エピソード掲載日:2026/11/06
「エレノア殿。すまないが、好きな人ができた」
三年契約の白い結婚が満期を迎える夜、焼きすぎた鰈を前に、近衛騎士の夫ユーリシスは真顔でそう切り出した。
お相手は、昨夜の裏演武場で彼を叩きのめした仮面の槍使い『銀鴉』。名前も顔も知らない。男でも構わない。もう一度あの突きを受けられるなら、弟子入りでも何でもするそうだ。
その銀鴉、私です。
晒しで胸を潰し、靴底に鉄板を仕込み、実家の槍術道場を守るために賭け試合へ出ていたのは、毎朝この人に紅茶を淹れていた妻のほうだった。
三年も同じ屋根の下にいて、足運びで気づかないってどういうことよ。
私は鞄から、昨夜もぎ取った夫の小手を取り出して、食卓の真ん中に置いた。
「あなた、昨夜の試合で負けましたよね?」
三年契約の白い結婚が満期を迎える夜、焼きすぎた鰈を前に、近衛騎士の夫ユーリシスは真顔でそう切り出した。
お相手は、昨夜の裏演武場で彼を叩きのめした仮面の槍使い『銀鴉』。名前も顔も知らない。男でも構わない。もう一度あの突きを受けられるなら、弟子入りでも何でもするそうだ。
その銀鴉、私です。
晒しで胸を潰し、靴底に鉄板を仕込み、実家の槍術道場を守るために賭け試合へ出ていたのは、毎朝この人に紅茶を淹れていた妻のほうだった。
三年も同じ屋根の下にいて、足運びで気づかないってどういうことよ。
私は鞄から、昨夜もぎ取った夫の小手を取り出して、食卓の真ん中に置いた。
「あなた、昨夜の試合で負けましたよね?」