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誰モ知ラナイ歌を〜episode3〜「蹄音」

作者:國風 惠昂
最新エピソード掲載日:2026/09/08

北海道の短い夏が終わろうとしていた頃。

まだ「グレイプフルーツ」として活動していたセラとルカは、何気なく目にした一頭の馬――レイワスタールビーの名前に惹かれ、日高の小さな牧場を訪れる。

そこで二人が出会ったのは、日本ダービーで二着に敗れた老馬メロゴールドと、すでに北海道を離れ、本州で競走馬としての道を歩み始めた二歳馬ゼスティール。

「今度こそ」

牧場の男性が静かに口にしたその言葉には、何年もの五月と、届かなかった夢が積み重なっていた。

やがて季節は巡り、ゼスティールは自らの脚で、すべての三歳馬に一度しか訪れない舞台――日本ダービーへと辿り着く。

そして偶然にも東京競馬場で歌うことになったセラとルカは、その一日を通して、一頭の馬だけではない、馬を育て、送り出し、夢を託してきた人々の想いを知っていく。

一度きりの、君の五月。
幾度めぐった、僕らの五月。

まだ歌になっていない想いが、
東京の芝を駆け抜けようとしていた。

※本作品はフィクションです。実在の人物・団体・競走馬等とは関係ありません。作中には実在する競馬場・競走名・地名等が登場しますが、物語および登場人物・競走馬等は創作によるものです。
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