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四本目の矢 ~束ねられなかった毛利家の四男~

最新エピソード掲載日:2026/11/06
 食品卸の営業として、漁師と店の間で頭を下げ続け、過労で倒れた男。

 目覚めると、そこは天文二十三年の安芸。毛利元就の四男、数え四つの子供だった。

 正室の子ではない。兄たちは「殿」、自分は「四郎」。毛利の三本の矢にも、数えられぬ一本である。

 一年後には厳島の戦いが来る。知っているのは、勝つことだけ。そこへ至るまでに何人が死ぬのかは、誰も教えてくれない。

 戦は嫌だ。働くのも、もう十分やった。日向で昼寝をして暮らしたい。

 ――そのはずが、塩の届かぬ山の子の咳を、見ぬふりができなかった。

 始めたのは、戦ではない。ひとつまみの塩と、擂り鉢と、捨てられる雑魚。

 束ねられなかったからこそ、できることがある。
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