名前を呼んで。エル・リーエ

迷宮都市で燻っている少年がいた。お金もなく、その日暮らしの少年はある日、闇の中で光を瞳に写した。それ『至宝』とよばれる最強の存在だった。至宝と呼ばれる3人はダンジョン都市で最高層の強さを誇る、正に現代の英雄たち。
時は1年前、少年は大型討伐から帰還した冒険者達を祝う凱旋パレードで至宝達を初めて拝見した。雰囲気からでもわかる強者という存在に、少年は心の底から憧憬した。あれが全人類最強の人達だと。僕が憧れる強さの象徴。少年の瞳はみるみるうちに光の炎を灯して、その輝きに憧れた、渇望した。そして、更に恋の炎も燃やされてしまった。至宝の1人、リーエという御伽噺の登場人物のように端麗な顔立ちの少女に恋をしたからだ。その１年後、未だに最弱を抜け出させず燻ってる毎日。そんな時に、リーエと奇妙な運命の出会いを果たし、リーエに言われた言葉は少年の心を打ち砕いた。
その言葉によって憧憬と恋の炎は消化されつつあり、更に迷宮都市に訃報が伝わる、【孤独の至宝】リーエが死んだと。
涙を流し、途方に暮れる少年は死ぬことを覚悟したがその時、右腕が勝手に動き……