第14話
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ダンジョンの大穴に入り、大穴の中層。武器屋が立ち並ぶ中でひとつの立派な店に入る。
【ミルク】と看板に文字が書かれている武器屋。中はこじんまりとした武器屋だ。壁には様々な武器がショーウィンドウで飾られ、中央には小物が飾られている。
どれも値段表がついてはいないが、僕でも名匠な鍛冶屋が作ったことが分かる。お店の中には武器をじっくり見ている、男性? 顔を包帯まみれにして、片目の青色の目が僕を一瞬ちらっと見る。華奢な体つきで、163センチほどの身長と白の動きやすそうな長袖、長ズボンの服装。暗殺者をイメージする、服装だ。ミラーちゃんは店の奥のカウンターにいき、大きな声で「ミルクー!」と叫ぶ。
「お? ミラー。武器の手入れに来たのか? 珍しいな」
「違うわよ。お客さんを連れてきたの」
「客?」
店の奥から出てきたのは気前のいいお兄さんみたいな人。
青色の布を額に巻き、茶髪の短髪が隠れ、優しい目付きが垣間見える。180センチほど身長で、朗らかな印象を受け取れる。
ミラーちゃんがミルクというんだから、看板通りこの人がここの店主なんだ。若いのにとても贅沢な店を構えている。相当な腕の持ち主なんだろうな。
「……ほー。お前が例の」
ミルクさんは僕を見定めるようにジロジロとみる。
「お前、名前は?」
「エル・アンコスです」
何度目か分からない名乗り。ミルクさんは顔を歪めて、僕が左手で持っている武器を睨む。
「エル。その剣やめろ。お前が使いこなせる武器じゃねぇ」
「そ、そんな!? 昨日買ったばかりなんですよ!?」
ミルクさんの衝撃の言葉に僕は、えぇ!? っとなりながら思わず叫ぶ。有り得ない。僕の貯金を全て費やした剣なのに、もう手放すなんて。
「いや、武器が悪いんじゃない。なんなら程々にいい武器だ。だが、エルが使う分には耐久力があってない。見てみろ、経った1日なのにその刃こぼれ。切れるもんも切れねぇよ。どんな戦い方したらそうなんだ。力任せの戦いは、強さじゃねぇぞ」
「ぐっ……」
とんだ図星だ。右腕に頼りきった戦闘。ステージ1の僕が出せるはずのない力を右腕が出している。
体がついていかず、右腕の力だけが突出している。
「こんな使い方、得する奴は誰もいねぇよ」
ミルクさんは下唇を噛んでいる僕を瞳に写し、カウンターから乗り出す。
「エル。お前はどんな武器が欲しい? 言ってみろ。ここはオーダーメイド専門店。エルの要望全てにお応えしてやる」
「オーダーメイドせ、専門店!? まってまって、ミラーちゃん。僕そんなにお金ないよ!? なんならその日の食事もままならないのに!?」
「ミラー、ここの仕組みを教えてないのか」
「あら、わちゃしが捏造してもよかったのかしら」
「……ただめんどくさかっただけだろ。よし、じゃあこの店の説明だ」
ミルクさんはジト目でミラーちゃんを凝視して、ミラーちゃんは視線を逸らす。
「ここは俺が客の価値を決める。とても主観的な見方だ。俺は今、もう決めているがお前の価値が分かる。その価値をドラクマに換算して、武器を作る。お前の価値が云わば前金だ。武器や防具の値段は俺の冒険者依頼を通して払ってもらう。そうだな、エルなら初回サービスとして3回の冒険者依頼で勘弁してやるよ」
「さ、3回だけで……オーダーメイドを!? なんていいお店なんですか!?」
「お兄さんは人を疑うことを覚えたらどうかしら」
「え。うん? どういうことですか?」
「ははは! ミラー、黙ってようか、ここは俺の店だぞ」
「あら、ごめんなさい。わちゃしはミルクのように悪い心を持ってないから」
さっきから2人が何を言っているかが全く把握できない。でも、3回のクエストだけでオーダーメイドの武器が貰えるなんて。でも、気をつけないといけないことがある。それは僕の価値。僕の価値次第でどんな質の武器が作られるかがきまる。
僕の神妙な面付きをみて、ミルクさんは困った笑い方をす。
「エルは自分のことを過小評価してるんだな。エルの価値は高いぞ、俺が言うんだから間違いねぇよ」
僕には価値がある。そんなこと、到底思えないけど。
「っで、どんな武器が欲しい?」
「どんな武器……」
「どうすればいいか分からない顔をするな。だが、俺はアドバイスは一切しないぞ。ここはそういう店だ。客のオーダーを俺が、100パーセント遂行する。どんな武器がいいか分からなかったらあの客に聞いてみろ。いいアドバイスを貰えるはずだ」
「そうね〜。わちゃしは戦闘職じゃないし、ヤミに教わったら? ねー、ヤミー。どうせ話は聞いてたんでしょ、お兄さんに教えてあげてよ」
僕は店内にいた男性を双眸に写すと、ぶふぉん、と威圧する風が吹く。目をすぼめるが、直ぐに威圧感はなくなる。
「ごめん。僕、人見知りで……」
「ひ、人見知り……すぎる」
さっきから気になっていた、男性。包帯だらけの格好は、僕の背筋を立たせる。凛とした声色は僕を緊張させる。ミラーちゃんとミルクさんと知り合いそうだけど、ミラーちゃんは本当に何者なんだ。こんな幼いのに、僕よりしっかりしているぞ。
「君の個性を教えてくれる?」
男の人は店の端から僕にぼそぼそと問いかけてくる。僕は傾聴して、僕の個性を答えた。
「なら武器だけじゃなくて、防具も揃えた方がいい。君の戦い方は速さが重要だ。防具は軽装備で、剣は……。その剣よりもうちょっと短く、そして体が持っていかれないように軽く。そして丈夫に」
「あわわわ、とっても参考になります! でも本当にその通りだと思います。ミルクさん……それでも可能ですか?」
「あん? 俺を誰だと思ってる、余裕のよっちゃんよ。そうだな、今日中に作ってやる。明日取りに来い」
「きょ、今日中!? そんなに早くできるんですか!? す、すごい!?」
「ははは。そりゃあ一流の鍛冶師だならな!」
「謙遜しない人はきらいなの」
なんだとー! っとカウンターから乗り出して、ミラーちゃんといがみ合うミルクさん。僕は、はははと苦笑いをして、この後採寸などをして店を出た。
「じゃあ、ダンジョン行くの。エルの戦い方見てあげる」
「あのぉ。ミラーちゃんって何者なんですか?」
「うーん……私は何者でもないの。ただのミラー」
「答えになってないけど……。あ、そういえばミラーちゃんも、もしかしてオリーブのギルドメンバーなの?」
「質問が多い男は嫌われるかしら。さっさっといくの」
ミラーちゃんはぷいっと顔を背ける。上手くはぐらかされて、ミラーちゃんは坂を下がって、水へ向かっていく。僕はどこかで聞いたフレーズだなと、首を傾げながら、ダンジョンに向かった。
先日投稿した最新話。誰がどの話数を見ているか調べたところPV41中、全て最新話に偏っていました。
見てくれてありがとうございます。




