↑ページトップへ

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

結婚式で義母に飲まされたスープは、夫が私を身代わりにして死なせるためのものだった

短編
あらすじ
 披露宴が終わったあと、親族だけが残る控室で、義母の佳代さんが古びた朱塗りの椀を持ってきた。

 中には黒糖のような甘い香りに、生姜と何種類かの薬草の匂いが混じった赤褐色の汁が入っていた。久世家では、嫁いできた女性が「嫁入り汁」を飲むのが昔からの習わしなのだという。

 私が手を伸ばすより先に、隣にいた直人の顔から笑みが消えた。

「母さん、美月が嫌なら無理に飲ませなくていいだろ」

 親戚たちは笑いながら、ただの縁起物だと言った。黒糖と生姜、それに身体にいい薬草が入っているだけだから心配はいらない、と。

 せっかくの結婚式で空気を悪くしたくなくて、私は椀を受け取った。ひと口飲むと、強い甘さの奥に、乾いた草の根のような苦みが残った。

 椀を戻そうとすると、佳代さんが私を見た。

「美月さん、最後まで飲んでね」

 親戚たちの視線が一斉に集まり、私は仕方なく残っていた汁を全部飲み干した。

 空になった椀を見た瞬間、佳代さんの肩からふっと力が抜けた。そして背を向ける直前、ほんの一瞬だけ笑ったように見えた。

 あとになって知ることになる。

 あの汁は、花嫁を祝うためのものではなかった。
Nコード
N8768MR
作者名
熾星
キーワード
女主人公 サスペンス 民俗ホラー 呪い 裏切り
ジャンル
ホラー〔文芸〕
掲載日
2026年 09月03日 18時04分
感想
0件
レビュー
0件
ブックマーク登録
0件
総合評価
102pt
評価ポイント
102pt
感想受付
受け付ける
※ログイン必須
レビュー受付
受け付ける
※ログイン必須
誤字報告受付
受け付ける
※ログイン必須
開示設定
開示中
文字数
14,208文字
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから

同一作者の作品

N0768ML| 作品情報| 連載(全107エピソード) | 異世界〔恋愛〕
~スポットライトの裏側で、執着な大妖に愛を乞われる~ 京都郊外の撮影所で起きたワイヤー事故。 売れない脇役俳優・佐伯蓮は、主演俳優を救うために飛び出し、俳優生命を揺るがす傷を顔に負ってしまう。 もう終わりだ。 そう思//
N4678MK| 作品情報| 連載(全139エピソード) | ヒューマンドラマ〔文芸〕
【閲覧注意】これは、彼女たちの「悪行」の記録か、それとも「救済」の叫びか――。 親に売られた少女、夫の暴力(DV)に怯える妻、社会から透明人間のように扱われる女たち。 ――「どうして私ばかりが、こんな目に遭わなきゃい//
N9668MR| 作品情報| 短編| ヒューマンドラマ〔文芸〕
『私のおかげで売れた天才画家の彼氏は、私を「金のことしか頭にない女」と見下していた』  七年間付き合った恋人へのプロポーズが成功した日、突然、目の前に「この先の物語」のような光景が浮かんだ。  そこでは、彼がずっと心//
N9646MR| 作品情報| 短編| ヒューマンドラマ〔文芸〕
 手作りのバースデーケーキを抱え、私は六歳になった息子、神谷湊の前にしゃがみ込んだ。  ろうそくの火を吹き消したばかりの湊の頭を撫で、今年は何が欲しいのかと聞いた。おもちゃでも旅行でもなく、湊は妙に落ち着いた顔で私を見//
N8768MR| 作品情報| 短編| ホラー〔文芸〕
 披露宴が終わったあと、親族だけが残る控室で、義母の佳代さんが古びた朱塗りの椀を持ってきた。  中には黒糖のような甘い香りに、生姜と何種類かの薬草の匂いが混じった赤褐色の汁が入っていた。久世家では、嫁いできた女性が「嫁//
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。