- あらすじ
- 『過剰なエンジン、星を拓く』
言葉はいつも 喉に引っかかり
奇妙な形に ねじれて落ちた
教室の隅
背中に投げつけられた 泥水の
カビ臭い鉄の匂いと 張り付く冷たさ
世界はあまりに眩しく、うるさく
少年の五感を 暴力のように刺した
「お前の頭、どうなってんだよ」
嘲笑の嵐の向こう
少年の目はすでに 青空を突き抜け
その先にある 漆黒の火星を見ていた
悔しさはない
ただ、氷のような孤独が胸を満たす
誰も追いつけない場所へ行く
それだけが 生きる理由だった
夜の静寂
古い本の 乾いた紙の匂い
蛍光灯の 微かな雑音
湿った土の匂いを 深く吸い込み
少年は自らを「過剰なエンジン」と名付けた
他人の感情は 最後まで読めなくても
宇宙の法則だけは 裏切らないから
大人たちの叩く 冷ややかな手
「誇大妄想の障害者」と
ロケットの爆発を 世界が笑った
夜の工場
焼け焦げた鉄の 苦い匂い
額から流れ落ちる 脂汗の痛み
全財産が消えかけ、胃が雑巾のように絞られても
震える指先で 彼は笑った
「もう一度、鉄を叩き直すんだ」
カウントダウンが 鼓膜を破る
背骨を激しく揺さぶる 地響きと轟音
真っ赤な炎が 夜の帳を切り裂いて
重力を脱ぎ捨てた銀の筒が
星の海へと 吸い込まれていく
数字の羅列が 世界の頂点を示す
手のひらを返した喝采など
ガラス窓に触れた 指先の冷たさよりも遠い
見上げる宇宙は 冷徹で
しかし 息をのむほど美しく瞬いていた
「僕の頭がどうなってるかって?」
境界線の消えた 瞳の奥で
新しい世界の夜明けが 静かに燃えている
- Nコード
- N7792MF
- 作者名
- かおるこ
- キーワード
- キーワードが設定されていません
- ジャンル
- ヒューマンドラマ〔文芸〕
- 掲載日
- 2026年 05月23日 03時30分
- 最終更新日
- 2026年 05月23日 03時34分
- 感想
- 0件
- レビュー
- 0件
- ブックマーク登録
- 0件
- 総合評価
- 0pt
- 評価ポイント
- 0pt
- 感想受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - レビュー受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 誤字報告受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 開示設定
- 開示中
- 文字数
- 1,000文字
設定
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『過剰なエンジン、星を拓く』
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから
同一作者の作品
N5014MG|
作品情報|
完結済(全11エピソード)
|
異世界〔恋愛〕
『悪魔の裏特約』 詩
――契約の女王 エルザへ捧ぐ
薔薇の香る舞踏会
金の燭台 硝子の微笑み
祝福の拍手の裏側で
あなたは見てしまった
愛を誓った男の唇が
別の女の名を呼ぶ瞬間を
砕けたのは
指輪ではなく
//
N6825MF|
作品情報|
連載(全36エピソード)
|
ヒューマンドラマ〔文芸〕
1Kの境界線
「身元保証人は?」
窓口の若い声が、
私の六十七年を、一枚の書類で区切る。
子どもはいない。妻は逝った。
ただそれだけのことが、
この街では「リスク」という名に変わるらしい。
まだ足は動く。
指先は機械の//
N4341MG|
作品情報|
完結済(全11エピソード)
|
異世界〔恋愛〕
『一億ゴールド貯まったので離婚します』
泥にまみれた あのドレスを
あなたは笑った
「金の亡者」
「愛のない女」
そう呼ばれながら
私は今日も
凍える帳簿を抱いていた
眠らぬ夜で
領地を繋ぎ
割れた橋を直し
飢え//
N4215MG|
作品情報|
完結済(全11エピソード)
|
ヒューマンドラマ〔文芸〕
「夫の給料で食べてるだけ」
そう笑われた夜、
私は湯気の消えた味噌汁を見つめていた。
朝五時に起きて作ったお弁当も、
特売のチラシを握りしめて走ったスーパーも、
誰かの体調を気遣って選んだ減塩醤油も、
この家では
//
N4047MG|
作品情報|
完結済(全11エピソード)
|
異世界〔恋愛〕
数字は嘘をつかないと
あなたは笑った
涙より先に
帳簿を閉じて
愛より先に
破綻率を弾いた
きらびやかな夜会の裏で
濁った金が流れていく音を
あなただけが聞いていた
「地味な女」と蔑まれ
「可愛げがない」と捨てら//
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。