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青き決別の堕天黙示録(エンジェルリセット)

あらすじ

 空腹だけが、私が私として生きている証だった。


 天空都市アスタリアの片隅で、弟と二人きりで暮らす少女、カナリアは今日も神殿から与えられた“魂の観測”の仕事をしながら、飢えから目を逸らして生きていた。

 ガリっとペンの先に力を入れて、白紙の模造紙に魂の残数を記入する枠を書き上げる。

 これは神様からの仕事。

 天使の誰もやりたがらない役割だけど、カナリアにとってはこの時間が、天界で生きる為に必要な理由だった。

 澄んだ瞳で眺める薄明の雲海。 体温よりずっと低いそよ風が身体に刺さると、肺の中が重たくなる。

 今日も世界は息苦しく、カナリアは精一杯の真っ白な息で空に存在を主張する。

 きっと今日も変わらない。

 だけど生きられない訳でもない。

 どれだけ虐げられようとも、この天界にも私たち姉弟を助けてくれる天使族族長イデルバと、族長の妻であるマリアがいる。 

 大丈夫。 胸を張って仕事を始めたそんなある日。

 勤務中に魂ではない、自分によく似た何かをカナリアは観測した。

『ねぇ、思い出した?』

――思い、出す?

 怖くなって強く閉じた瞼。 気がつくとカナリアはもう何年も見ていなかった“夢”を見ていた。

 ずっと忘れていたはずの母親との別れ。

 族長イデルバに与えられた小屋で暮らしていた、母との記憶。

 目を覚ましたカナリアの世界がこの日、静かに歪み始める。

 勤務交代で来たマリアの豹変。

「堕天は――天界に生きる天使が眺める娯楽なんだよ」

 なぜ天使たちは地表を見ることの出来る“天洞”を娯楽として笑うのか。

 天界に起きる異変。

 早朝から騒がしい天使の住まうスラム街。

 天使が新たな堕天という娯楽の標的を選ぶのに、時間はそうかからなかった。

 逃げる姉弟。

 母が残した遺言によって向かう神すら嫌う廃楽園。

 カナリアが夢を拒絶し、目を逸らしていた記憶とは――。

 全ての歯車が噛み合う時、天空都市アスタリアに雷鳴が響く。


 これは、 青き決別を余儀なくされた天使の堕天から始まる黙示録(エンジェルリセット)。

Nコード
N7650MF
作者名
今井 冬馬
キーワード
残酷な描写あり ダーク 女主人公 西洋 古代 ハイファンタジー
ジャンル
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
掲載日
2026年 05月23日 00時15分
最新掲載日
2026年 06月12日 07時29分
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文字数
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