- あらすじ
- 東京で雑貨メーカーを辞めた賢人は、祖父が遺した灯町の傘修理店「黒瀬傘店」へ戻ってくる。店には古い伝票、雨漏り、修理待ちの傘が山ほど残り、賢人自身も失敗した過去から目をそらしていた。そんな梅雨入り前の夕方、駅前地下道で停電と強い雨が重なり、人の流れが止まる。そこで賢人は、高校時代に言葉を置き去りにしたまま別れた消防士・花と十年ぶりに再会する。
花が人々を出口へ導く姿を見た賢人は、祖父の作業箱から、雨の夜に進む方向を示す未完成の黒い傘を見つける。外側は地味な黒、内側には反射材や蓄光の線が仕込まれ、暗い雨の中で人の視線を前へ向ける一本だった。賢人は花、町工場の叶一、消防士の海太、役場職員の晃煕、商店街の人々と試作を重ねる。笑われ、叱られ、時には衝突しながら、黒い傘は少しずつ「人を守る道具」へ近づいていく。
一方で、花には翌年度の研修候補の話が届き、賢人には黒い傘の権利を買い取ろうとする会社が現れる。さらに雨天確認では安全紐の不備が見つかり、賢人は発明が人を助けるだけでなく、危険にもつながることを突きつけられる。逃げ続けてきた賢人は、今度こそ責任から目をそらさず、花に隣にいてほしいと言う前に、自分が灯町で何を作るのかを示そうとする。
八月末の夏祭り。突風と豪雨で人々が歩道橋手前に滞る中、正式な試験導入として配られた黒い傘が開く。雨の夜に浮かぶ淡い光は、人々の足を前へ進ませ、賢人と花の止まっていた十年も動かしていく。 - Nコード
- N6257MC
- 作者名
- 乾為天女
- キーワード
- JR西じゆうに大賞1 春チャレンジ2026
- ジャンル
- 現実世界〔恋愛〕
- 掲載日
- 2026年 04月27日 20時20分
- 最新掲載日
- 2026年 05月09日 20時20分
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黒い傘は、花嫁の手をひく。
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