ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

探求心

短編
あらすじ
水槽の水を飲む男
山田太郎の喉は、常に渇いていた。
ただの渇きではない。「究極の一杯」を求める、求道者としての渇きである。彼は自称・ハードコアウォーターソムリエ。水に対する執着は、もはや常軌を逸していた。

第一形態:ミネラルウォーター
「ふむ……。アルプス山脈の雪解け水……硬度300。悪くない。悪くないが……」

山田はワイングラスに入った高級ミネラルウォーターをくるくると回し、一気に飲み干した。そして、深いため息をついた。

「綺麗すぎる。無機質だ。岩石のフィルターを通っただけの水に、もはや私の魂は震えない!」

彼は空のペットボトルをゴミ箱に放り投げた。綺麗すぎる水は、彼の舌を退屈させるようになってしまったのだ。彼が求めているのは、もっとこう……ドラマである。

第二形態:水道水
深夜、山田は自宅のキッチンに立っていた。蛇口を捻ると、勢いよく水が飛び出す。彼はグラスを使わず、直接口をお迎えにいった。

「ゴクッ……ゴクッ……ぷはぁっ!」

山田の目がカッと見開かれた。

「これだ! この人工的なカルキ臭! 老朽化した水道管が織りなす、ほんのりとした鉄の風味! 大自然には決して生み出せない、都市のインフラという名の暴力的なテロワール!」

彼は水道水を「アーバン・ヴィンテージ」と名付け、がぶ飲みした。しかし、人間の欲望とは恐ろしいものだ。三日後、彼は水道水の「安定感」にすら飽きてしまった。

第三形態:2週間放置されたウォーターサーバー
山田が次に目をつけたのは、職場の給湯室の隅に追いやられたウォーターサーバーだった。誰かがボトルを交換するのをサボり続け、電源も抜かれたまま、直射日光の当たる窓際で2週間放置された魅惑のサーバーである。

山田は紙コップを置き、レバーを押した。
チョロ……チョロチョロ……。
水は、妙にトロみを持っていた。

「……いただきます」

口に含んだ瞬間、山田の脳内に走る電流。
Nコード
N5280MB
作者名
スーパナイトシオン先生
キーワード
ギャグ 水道水 アタオカ
ジャンル
コメディー〔文芸〕
掲載日
2026年 04月17日 08時47分
感想
1件
レビュー
0件
ブックマーク登録
0件
総合評価
10pt
評価ポイント
10pt
感想受付
受け付ける
※ログイン必須
レビュー受付
受け付ける
※ログイン必須
誤字報告受付
受け付ける
※ログイン必須
開示設定
開示中
文字数
1,722文字
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから

同一作者の作品

N5280MB| 作品情報| 短編| コメディー〔文芸〕
水槽の水を飲む男 山田太郎の喉は、常に渇いていた。 ただの渇きではない。「究極の一杯」を求める、求道者としての渇きである。彼は自称・ハードコアウォーターソムリエ。水に対する執着は、もはや常軌を逸していた。 第一形態:ミ//
N4088MB| 作品情報| 短編| コメディー〔文芸〕
親友のリカから届いた「昨日びょういん行ってて」という一通の誤字LINE。 ただ美容院でイメチェンをしただけのリカだったが、それを「病院」と受け取ったカナコの脳内では、壮絶な医療ドラマが幕を開けていた。「重いからバッサリ//
N9849MA| 作品情報| 短編| ヒューマンドラマ〔文芸〕
カラン 完全に日が落ち切る前、珈琲の煙が鼻孔をくすぐる 心地よくて瞼を閉じてしまう 「いらっしゃいませ」 「ああ」 「お決まりになりましたら……」 「このホットを一つ」 僕は、この間が好きだ。 PCを開きたい気持//
N7836MA| 作品情報| 短編| ローファンタジー〔ファンタジー〕
異世界に転生したものの、ブラックすぎるギルドで毎日毒沼を泳がされるなど、酷使され続けている冒険者・タナカ。心身ともに限界を迎えた彼は、ついに明日からのギルド・バックレを決意し、深夜に「ギルド辞め代行サービス『キャリア・ブ//
N7329MA| 作品情報| 短編| コメディー〔文芸〕
勇者アレンは、激しい怒りに震えていた。 数々の試練を乗り越え、ついに伝説の聖剣エクスカリバーを引き抜いたというのに、国王から渡された魔王討伐の最終兵器は、実家の裏山で切ってきた「限界まで花粉を蓄えた極太のスギの枝」だった//
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ