- あらすじ
- 村長アル爺は心やさしい男だった。だからこそ、洪水で家を失った難民たちを受け入れた。食料を分け、家を提供した。村人も反対しなかった。やさしかったから。
だが難民は増え続ける。毎年、毎年。やがて村は危機に直面した。
そのとき、天才的な青年クロードが現れた。彼は「完璧なシステム」を設計した。難民審査票、配分表、労働表、統計簿。すべてが数字で、すべてが「公平」だった。
制度は完璧に機能した。誰も飢えない。誰も不当に扱われない。村は帝国全土の模範となった。
だが——
やさしさが完璧になるほど、人間は檻の中に入っていった。制度に従うことが「正しさ」となり、制度から外れることは「損をする」ことになった。気づいたときには、村人たちは「自分で決める」ことすら忘れていた。
やがて若き記録官クロは、ある悲劇的な記録をつけ始める:「村人が、村人を名前で呼んだ回数」「村人が、自分で決定を下した回数」——それらはすべて、直線的に、予測可能な速度で、減少していった。
完璧なやさしさの先に、何があるのか。システムの外へ逃げた少女マルグレット。それを記録し続ける男クロード。そして——無限に焼却される真実。
現代が生んだ最強の檻。それは「善意」という名の完璧な制度だった。 - Nコード
- N3016MD
- 作者名
- 新里泰久
- キーワード
- シリアス ダーク 男主人公 西洋 中世 近世 近代 現代 職業もの 内政 日常
- ジャンル
- 歴史〔文芸〕
- 掲載日
- 2026年 05月02日 19時00分
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