ジャンク漁りの魔工技師

魔法の力で空に浮かぶ、上層都市「イサルーン」。
そこから捨てられるゴミで成り立つ、汚れた下層都市「ドロスポート」。
この見捨てられた格差社会で、一人の少年が暮らしている。彼の名はジェット。魔法の才能を持たない代わりに、彼には前世の記憶と日本の機械工学、電気工学の知識があった。
ジェットは、唯一の家族である妹分・リリィを守るため、その異世界の知識を武器に、ガラクタから独自の機械（ガジェット）を組み上げて生きる、孤高の「魔工技師」だった。
そんな彼の日々は、ある一つの「拾い物」によって、大きく動き出す。
イサルーンから落下してきた、謎の黒い金属塊。それは、この世界の理（ことわり）を根底から覆しかねない、超高度な技術の結晶だった。
その日を境に、ジェットは単なるジャンク漁りではなくなる。
下層都市の荒くれ者たちから、そして、空の上から注がれるイサルーンの冷徹な監視の目から、その「拾い物」を狙われるターゲットとなってしまった。
身を守るため、そして謎を解き明かすため、ジェットは持てる知識の全てを注ぎ込み、ガラクタから新たな力を創造していく。