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捨てた未来、買い取ります。 ~滅亡予定の街で始める「もしも」商店~

作者:モコ
最新エピソード掲載日:2026/11/06
28歳の牧瀬透は、かつて祖父が営んでいた小さな雑貨店を閉店させたことを、ずっと後悔していた。

ある日、目を覚ますと、そこは異世界の寂れた商店街。

空き家だらけの街、活気を失った住人。そして広場の時計塔には、奇妙な文字が浮かんでいた。

【この都市の未来は、残り90日で消滅します】

その世界では、すべての人間が人生で選ばなかった未来が、目に見えない場所に蓄積されていた。

「もしも、騎士ではなく料理人になっていたら」

「もしも、あの日故郷を離れなかったら」

「もしも、夢を諦めていなかったら」

透が手に入れたのは、そんな捨てられた可能性を買い取り、別の誰かに一日だけ貸し出せる能力だった。

ただし、借りた能力も道具も、翌朝には消えてしまう。

最初はたった一軒の小さな商店。

だが、職人の技術、忘れられた発明、諦めた夢を人々につないでいくうちに、滅亡を待つだけだった街が再び動き始める。

そして透は知る。

この世界が滅びかけているのは、魔王のせいでも、戦争のせいでもない。

誰かが、世界中の人々から「選ぶ権利」を奪い続けているからだった。
第1部 水が戻るまで
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